母と息子が歩んだ、12色の軌跡
―わたしたちのサステナブル―
この度、ヤマダヤでは「わたしたちのサステナブル」プロジェクトの第二弾として、アール・ブリュット作家Shinさんとのコラボレーションアイテムを12月12日(金)9:00より販売することになりました。
本ブログでは、Shinさんとご家族との出会いを通して感じた想いや、Shinさんの魅力あふれるパーソナリティをお届けするとともに、自閉症や障害のある方々への理解を深めるきっかけになることを願っています。
Shinさんの紹介

Shin(秋本慎ノ介)さんは、その独自の色彩と優しい表現で、多くの方を魅了し続けている24歳のアール・ブリュット作家です。2025年12月には東京にある日本外国特派員協会にて約20点の作品展示とレセプションの開催が決定しており、現在注目を集めています。
彼の制作スタイルは、下書きを一切せず一気にクレパスを走らせ、12色の水彩絵の具で心のままに色を重ねていく直感的で鮮烈な色彩表現が特徴です。繊細な色の重なりと、伸びやかな筆致が共存した独自の世界観は、見る人の心に寄り添い、癒しと希望をもたらすアートとして高い評価を得ています。
Shinさん、Shinさんのお母さんへのインタビュー
──幼少期のShinさんは、どんなお子さんでしたか?
母: 幼い頃は、本当に感受性が豊かで、なんでも自分のペースを大切にしている子でした。 食べものにもこだわりがあって、白や黒といった決まった色のものしか食べられない時期もあり、毎日の食事にはいろいろ工夫しながら過ごしたのを覚えています。言葉で気持ちを表す代わりに、目に映る色や形にとても敏感で、そこからたくさんのことを感じ取っているようでした。嬉しいことも不安なことも、そのまま全身で受け止めてしまうような、そんな繊細さを持っていました。
思い返すと、そのひとつひとつの出来事が、今のShinの豊かな表現力や色彩への感性につながっているんだな、と実感します。あの頃は手探りの日々でしたが、すべてが今につながっているんですよね。
──そんな男の子が絵と出会ったのはいつ頃だったのですか?
母:小学校に入る前、1年間通っていた愛知県教育センターで、担当の先生がShinの「好き」を見つけてくださいました。絵を描いている時の、とても集中した様子を見て、「絵が好きなんじゃないかな」と気づいてくださったんです。そのご縁で絵の教室を紹介していただき、週に一度通うようになりました。そこで、筆の持ち方や絵の具の使い方、ハサミの扱い方など、基本となる大切なことを少しずつ学んでいきました。そうした積み重ねが、今のShinの作品づくりの土台になっていると感じます。

高校時代のShinさん
──絵のほかに、何か夢中になったことはありましたか?
母:水泳ですね。実は絵を習う前から続けていました。祖母の通っていた施設で障害のある子も通える水泳教室を紹介してもらったのがきっかけです。最初の3年間はなかなか上達しなかったけれど、諦めずに続けていたら泳げるようになって。小学4年生で初めて記録会に出場したんですが、Shinはメダルが大好きで、「隣の子より早くゴールしたい」「1位になりたい」という気持ちが強かったんです。その姿を見て水泳をやらせてあげるといいのかなと思って、それからは水泳の練習に熱中して、今も絵の教室と両立しながら続けています。
──Shinさんのアートのスタイルには、独自のこだわりがあると伺いました。制作スタイルについて教えていただけますか?
母:最初に絵を描き始めた時に使った12色の水彩絵の具を、Shinは今でもずっと使っているんです。作品を描くときは、その12色を自分で混ぜながら色をつくっていきます。最初に手にしたものや最初のやり方を大切に守るところがあって、そこがShinのオリジナルのスタイルにつながっているのだと思います。描くモチーフは、昔から大好きな動物が多いです。Shinは子どもの頃から優しく繊細な性格で、学校で隣の子が先生に叱られて泣いてしまうと、Shinも一緒になって涙が出てしまうような子でした。だからでしょうか、Shinが描くライオンやトラのような“強い”動物でさえ、どこかやわらかくて、優しさが滲んでいるように感じます。
特に動物の目を見ると、どれも温かくて、何かを語りかけているようで……その表情にShinらしさがよく表れているんですよね。
Shinさんが描く優しい表情の動物たち
──動物の目を意識的に見ると、確かに一頭ずつ全然表情が違いますね。作品数はどれくらいあるのでしょうか?
母:今、自宅で保管している作品は90点以上あります。1枚の作品を仕上げるのに、アトリエで週1回、2時間の制作を続けて、だいたい4週間ほど。長い作品だと2か月くらいかけて描くこともあります。そう考えると、Shinは制作ペースが早い方なのではないかな……と思っています。ずっと見守り応援してくださっている方からは、以前の作品と今の作品を比べて、「色の使い方が変わったね」「大人になったね」と声をかけていただくことが多いんです。彼の成長を作品の変化として見ていただけるのが、とてもありがたいです。
──今までの原画をアトリエで拝見しましたが、水彩絵の具ならではの色の伸びや透明感も相まって本当に素敵な作品ばかりですね。動物の絵が多いですが、Shinさんは動物の中で何が一番好きですか?
Shin:ゾウ!
母:そうなんです。「一番好きな動物は?」と聞かれると、いつも決まって「ゾウ」って答えるんですよ。特に、大きなゾウが好きみたいです。名古屋の東山動植物園へ定期的に足を運んでいます。東山動植物園のゾウが亡くなってしまった時は、まだ「亡くなった」という意味が理解できなかったようで……ゾウがいた場所に何度も行っては、「いない……」と探し回っていました。あの時の姿を思い返すと、本当にゾウが大好きなんだな、としみじみ感じます。

Shinさんの作品「森と共に」
──改めてお母さんにお聞きしたいのですが、Shinさんをここまで育ててこられた中で、大切にされてきたことはありますか?
母:“継続すること”と“体力をつけること”です。どんなに良い環境に恵まれても、続けられなければ意味がない。障害があっても、心身ともに健やかな状態で物事を続けられる土台を、小さい頃から少しずつ作っておくのが大切だと思っています。
そしてもう一つ、“好きなものを見つけること”です。支援学校の先生から「卒業後、自分の好きな場所や時間を持てるように。意思表示が難しいからこそ、何をしている時間が好きなのかを今のうちに見つけてあげてくださいね」とアドバイスをいただいたんです。その言葉が心に響いて、いろんなことに挑戦し、何をしている時が一番楽しそうなのかを観察し続けました。もちろん、仕事も大切だと思います。でも、それ以上に、本人が嬉しそうにしていられる時間を持ちながら生きていけることが、私の一番の願いです。「これが好きだな」「この時間が楽しい」、そう思える瞬間が、きっとShinの人生を支えてくれると信じています。
──人との関わりや関係づくりで、意識されていたことはありますか?
母:療育の先生から言われた「可愛がられる障害者になってね」という言葉が今でも心に残っています。可愛がられるっていうのは、人の嫌がることをしないとか、いつもニコニコ笑っていられるとか。
そして何より、「ありがとう」「ごめんなさい」といった挨拶がしっかりできること。Shinは、この先も社会の中でたくさんの方にお世話になりながら生きていく子です。だからこそ、周りの人に可愛がってもらえるのがよいと思うんです。なるべく、みんなの中で「しんちゃん」と呼んでもらって、「はい!」とニコニコしながら応えられる──そんな温かな関係の中で過ごせたら、それが一番だと思っています。

作品を制作するShinさん
──Shinさんの作品のファンが増えてきているとお聞きしました。最近のご状況はどうですか?
母:ありがたいことに、いろいろな場所で展示させていただく機会が増え、多くの方に作品を見ていただけるようになりました。今では、展示だけでなく、アートレンタルや商品化など、本当にいろいろな形でShinの作品が広がっていて、驚きと感謝の気持ちでいっぱいです。その中でも、「ヤマダヤ」さんとのコラボが実現したことは大きな出来事でした。SDGsに力を入れている企業さんと良いタイミングでご縁をいただいて、Shinの絵が洋服として形になった時は、本人よりも私の方が感激してしまいました。彼の“色”や“世界観”が、身につけられるものとして多くの方に届くようになり、とても嬉しいですね。
──Shinさんの将来についてはどのような想いを持っていらっしゃいますか?
母:障害があっても、集中して何かに打ち込む時間を持つことが大切だと思っています。Shinは、水泳の試合でスタートラインに立つ時、表情が普段と全然違うんです。スイッチが入って、一人だけの世界に入っていくんですね。そういう"オン"の時間って、人間には絶対必要だと思うんです。たとえ短くても、集中できる時間や楽しめる時間、自分らしく生きられる時間が、人生を豊かにしてくれるのだと思います。将来は、仕事と趣味のバランスを上手に取りながら、自分らしい生活を送ってほしいなと願っています。
──最後に、伝えたい想いをお聞かせいただけますでしょうか?
母:「何もせずに後悔するより、やってみて後悔したい」そうすれば、それは“後悔”ではなく“仕方ない”と思えるんです。障害は病気とは違い、治すものではなく“共に生きていくもの”だからこそ、それも含めて楽しく前を向いて生きるのが大切だと感じています。
我が子の障害を受け入れることは、親にとって試練です。でも、その試練を一つひとつ乗り越えるたびに、小さくても確かな“あかり”が見えてくる。その繰り返しが、私たちの人生そのものだと思います。

ShinさんとShinさんのお母さん
最後に
お話を伺うなかで、今回のコラボレーションに込める想いがより一層強くなりました。Shinさんの屈託のない素敵な笑顔やご家族の絆、周囲の方々のサポート。その一つひとつの想いを胸に、Shinさんの優しい色彩と世界観を形にした、素晴らしいプロジェクトにしていきたいと思います。次回はShinさんとのコラボレーションアイテムをご紹介します。ぜひお楽しみに。
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Shinさんの絵🖼️すごく素敵ですね💓 コラボ商品すごく楽しみです。 こういった企画これからも楽しみです✨✨ 動物すきなので、コラボアイテム絶対買います。 個人的にラッコが好きなのでラッコモチーフのアイテム作って欲しいです。 ラッコ保全のために、例えば海に捨てられたプラスチックを回収してプラスチックを加工して洋服とかアクセサリーとかバックなど作るとか、ヤマダヤさんならではの取り組み楽しみにしております♪